キューちゃんはジェンダーレスである。僕とは、スカイプの掲示板で知り合った。
彼女(と敢えて呼ぶ)が実は男性であることを告白されたのは、僕が音声チャットを持ち掛けた時だ。メールやテキストチャットのやり取りでは、キューちゃんが女性であることを信じて疑わなかったので、結構驚いた。
いくら心が女性でも見かけは男性なのである。そのため、実生活では心と環境の乖離に相当苦しんでいたらしい。そんなキューちゃんが自分を解放できるのがエロイプの世界だったのだ。ここでは女性になりきれるし、男性たちもキューちゃんを女性として扱ってくれる。現実逃避と言う言葉を使うならば、エロイプ上こそがキューちゃんの現実だった。
ちなみに、僕はノンケである。男性に友情を感じることはあっても愛情を感じることはない。そして、キューちゃんもそれは理解していた。ボイチェンを使う手もあるが、そこまでやると相手を完全に騙すことになる。だから、本当はジェンダーレスの男性であることを告白してきたのだ。キューちゃんからすれば、これで僕との時間は終わりを告げるだろうと覚悟しての告白だったらしい。
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しかし、僕は不思議と何ら抵抗はなかった。もちろん、男性であることには驚きはしたが、彼女の心が女性であることを知っている。逆によく告白してくれたと嬉しくなって感謝を伝えた。正直な話、最初から告白されていれば僕は彼女を受け入れなかっただろう。ただ、女性だと信じてエロイプしていた期間が僕から偏見を取り除いていたのだと思う。つまり、僕は彼女に惚れていたのだ。
「こんにちは」
初めて聞くキューちゃんの声は野太かった。でも、それが何だと言うのだろう。声が問題ならばボイチェンがある。体が問題ならば性転換手術もある。ただし、機械でも手術でも変えられないものがある。
「これからもよろしくね」
僕は、キューちゃんの心に優しく言葉を返した。
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